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Balabushka



~バラシュカを鑑定するポイントについて~

この文章の原文と画像は、私の友人であるアメリカのキューディーラー、Pool Table Magicのマーク・カランジンが作成したものです。彼の「日本のコレクターにバラブシュカのキューについてもっと知って欲しい」というリクエストに基づき翻訳し、掲載したものです。

☆  ☆  ☆

ジョージ・バラブシュカは、偉大な職人であり、全ての時期を通じて私の最も好きなキューメーカーのうちの一人でした。私の1974年以来行ってきた分析、採寸、多くのキューメーカーとの膨大な会話、文書化、そしてバラブシュカキューの売買とコレクションに基づくこの解説を読んでいただくことで、これまではっきりしなかったことが解消されると思います。

ジョージ・バラブシュカに対する個人的な思い入れから、私が”ジョージズ・ビリヤード・サプライ”を始めた1978年頃から、世界中のキューコレクターやキューメーカー、そしてプレイヤーたちを悩ませてきました。
長年にわたる個人的なコレクションには常に少なくとも20本、多いときには40本以上のバラブシュカが含まれていました。さらに100本以上のバラブシュカを売買し、400本近いバラブシュカを手にとって見る機会を得てきました。

ジョージ・バラブシュカは、木材とその特性について熟知していた偉大な職人です。彼自身の頭の中と、心と、腕にあった天賦の才能は、誰も受け継ぐことができなかったものでした。ジョージは非常に理路整然としていて、常に完璧を求めていました。彼のキューは彼が到達した、尊敬に値する完璧さの水準を証明するものです。
ジョージ・バラブシュカの名前は、これからの世代にとってもポケットビリヤードと切り離せないものとして永遠に語り継がれてゆくでしょう。バラブシュカのキューを見れば、偉大な人物がこの世を去っても、これまでのキューメーカーの中でもっとも偉大な彼の伝統は生き続けていることがわかるでしょう。

1.ジョイントとジョイントピン
大部分のバラブシュカのジョイントカラーは、長さ1インチのステンレススチール製です。 私は真鍮製のジョイントカラーも見たことがありますし、象牙製のものもあると聞いたことがあります。 ジョイントピンは、およそ4分の3インチジョイントカラーから出ています。ジョイントピンのピッチは 大部分が直径16分の5インチ・1インチあたり14山です。



2.フォアアーム
ジョイントカラーの頂点からグリップまでの長さは11.25インチから12.5インチです。フォアアームは4つの異なる メーカー製です。それらはブランズウィック・タイトリスト、バーテン・スペイン、ジョン・デイヴィスとガス・ ザンボッティです。大部分は4色のベニヤを使ったハギですが、バーテン・スペインとジョン・デイヴィスが製作した 5色のベニヤを使ったハギを持つキューが存在します。 ハギの材料は、オーク、マホガニー、ローズウッド、黒檀です。
ジョージの初期のキューはブランズウィック・タイト リストを再利用したものです。1960年代の半ば、バーテン・スペインのハギを使い始め、1960年代末にはジョン・デイヴィス のハギ、そして1970年代の初めからはガス・ザンボッティのハギを使いました。新たなハギの供給元を得ても、他の供給元 のハギを並行的に使っていました。


3.フォアアームのインレイとブシュカリング
各種のフォアアームとリングのバリエーションです。



4.グリップ
グリップの長さは12.5インチから13.5インチとさまざまです。ジョージの初期のキューはナイロンか絹の糸が巻かれていました。その後コートランド社の#9という白地に緑の斑点があるアイリッシュリネン糸を見つけ、採用しました。
ごくまれに、革巻きも手がけました。ジミー・カラスや当時のトッププレイヤーたちの意見によれば、ジョージは"ビリヤード界で最高の革巻き職人"と認められていました。
私は数本だけ何も巻かれていないキューを見たことがあります。そのうちの1本は、グリップに彫刻が施されたものでした。



5.キュー尻
キュー尻部の長さは2.25インチから2.75インチとさまざまです。バラブシュカのキュー尻はプラスチックやアクリル樹脂、ベークライト、透明な樹脂、そして銘木で作られています。ジョージのインレイパターンは切り込み入りの菱形か、丸形に限られていましたが、シンプルなパターンを用いて優雅なデザインを施す能力に長けていました。
ジョージは、着色された薄い木の板も、インレイや飾りリングに最初から最後まで創造的な手法で用いました。多くのそのデザインは時代を超えて、現在でも他のメーカーに採用されています。




6.バットキャップとバンパーゴム
バットキャップはおよそ1.5インチの長さの特別な乳白色のデルリン樹脂です。経年変化により、色あせが見られるものもあります。画像では3つの異なるスタイルが見られます。バンパーゴムのないウィリー・ホッピスタイル、黒か白色のデルリン樹脂製プラグをはめたスタイル、そしてバラブシュカのトレードマークのように広く知られている赤いバンパーゴムです。



7.バンパーゴムとウェイトボルト
バラブシュカはブランズウィック製の赤茶色のバンパーゴムを使い、それはバラブシュカのトレードマークになりました。 画像の通りジョージは伝統的な手法で、マスキングテープで巻いてからバンパーゴムをはめ込みました。ウェイトボルトは 特製の16分の5インチで18山のネジを持ち、頂点にはバンパーゴムを固定するための小さなネジを留めるネジ穴がありました。 バンパーゴムをはずすと、デルリンのバットキャップの中心に、ねじ山切りで作り出された溝が見えます。これはウェイトボルト をねじ込むためのフェノール樹脂か、真鍮かアルミニウム製の部品です。



8.バラブシュカ特有の材料とデザイン
謎に満ちた金・黒・緑・赤のきらきらと光るバンドは、バラブシュカだけに見られる材料です。私の知る限り下の画像にある2本だけしか 作られていません。ジョージは、右から2本目のキューに見られる、レイルロードトラックパターンと呼ばれるインレイをはじめて施したキューメーカー の一人として知られています。



以上の情報は、バラブシュカの真贋を見極めるための助けとなることを祈って開示しました。 もちろんこれらが全てではないので、ひとつの参考ととらえてください。
ここで述べたことは、過去30年以上に渡って私が見てきたバラブシュカキューから得たものです。もちろん私はジョージのキューを全て見たわけではありませんが、彼が常日頃キュー製作で行ってきたことを総括するものであろうと確信しています。
さらに詳しい情報は、ビリヤードエンサイクロペディアとブルーブックオブプールキューズを参考にしてください。
この二冊は、キュー製作とキューメーカーに関する最良の書物です。私はこのページを作成するに当たり大いに楽しみましたので、読んでいただいた方々も同様に楽しんでいただけたら、幸いです。
ここで掲載したバラブシュカは全て、私が所有しているかかつて私が所有したものです。

マーク・カランジン
Presented by Mark Kulungian

Copyright 2008 (c) Mark Kulungian, Pool Table Magic
Japanese translation was done by K.Kagomiya.
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